中古車業界、風評被害を懸念 「一緒にされては迷惑」「業界が不正だらけのように見られないか」

中古車販売大手ビッグモーター（東京）による自動車保険の保険金不正請求問題は、鹿児島店（鹿児島市宇宿２丁目）でも不適切な行為と疑われる案件が外部弁護士による調査で指摘された。

県内で中古車販売や整備を行う業者からは「信頼関係で成り立つ業態。一緒にされては迷惑」「不正をただし膿（うみ）を出し切ってほしい」との声が相次いだ。

産業道路沿いの好立地にある鹿児島店は、全国展開の知名度が強みで在庫車両も多い。業界関係者は、２０１７年の鹿児島店オープンを「黒船襲来のようだった」と振り返り、「業界最大手でＣＭなどでも目立つ存在だった。業界が不正だらけのように見られないか」と風評被害を懸念する。

　調査報告書の板金・塗装案件の検証では、約４万５０００件の中から抽出した２７１７件のうち約４４％の１１９８件で、車を故意に傷つけ修理代を水増しするなどの不適切行為の疑いが指摘された。１台当たり１４万円前後のノルマもあったとされ、報告書は不正が横行する要因になったと指摘している。

　鹿児島市の板金業者は「破損状況によって変わる板金の修理代にノルマがあること自体がそもそもおかしい。シビアな保険会社の審査で見逃されていた点も不思議」と驚く。一方で「車好きが集う業界。上から相当なプレッシャーがあったのだろう。そうでないと、車を傷つける行為はできない」とおもんぱかった。

　「信用第一で任せてもらっているのに、まるで詐欺の手口ではないか」と憤るのは、車検と板金工場を備える地方の販売業者。必要以上の補償を受けて等級が下がった可能性を指摘し「結局、損をするのはユーザーになる。国の調査を是正のきっかけにすべきだ」と期待した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4ec290cadb2bd5956c0bd5bad7611af6c9913deb