なぜ「プリウス」がネットで標的にされるのか

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トヨタのプリウスをネットで検索したり、ドライブレコーダーの交通事故や暴走ドライバーの動画を見たりすると、プリウスを目にすることが比較的多い。誰が言い出したか知らないが、「プリウスミサイル」という不名誉な呼び名まで浸透している印象だ。

プリウスという1車種だけが暴走事故を起こしているわけではないのに、こうした悪評が立つのにはいくつか理由がある。

まずプリウスは日本国内だけで累計100万台(2022年12月時点)も販売されている。「超」が付くほどの人気車種だけに、交通事故を起こす絶対数も多くなってしまう。  

また人気車種だけに、その他の車種を所有しているユーザーからはアンチ的な見方をされてしまうこともある。タレントの人気度を調査すると好きなタレントの上位は、嫌いなタレントの上位にもランクインしていることが多いのと、同じことだ。こうして考えると、ユーザー数が多いからプリウスユーザーの運転が悪目立ちしてしまう、という見方ができる。だがプリウスというクルマにも決して問題がないとは言えないのである。

◼プリウスというトヨタの金字塔にある問題点

トヨタはプリウスというクルマを燃費性能だけに特化させたハイブリッドカーから、総合性能を高めたクルマへと成長させてきた。 しかしながらドライバーのほうが、クルマの進化に追いついていない部分もある。

プリウスをはじめトヨタのハイブリッド車のシフト機構は、セレクターレバーとプッシュスイッチを組み合わせたものになっている。セレクターレバーとは、NレンジからDやRレンジにシフトするためのもので、停止時はPレンジのボタンを押す仕組みになっている。通常時であればこの操作方法でも問題はないが、ドライバーがパニックに陥ったときはどうなるのか。例えば、急発進などで衝突事故を起こしてしまったら、咄嗟(とっさ)に行動するのはセレクターレバーの操作(ブレーキを踏んでいると思い込んでいるので、他にできる操作としてシフトに手がいく)だ。  

そして運転を長年してきたドライバーほど、従来のシフト操作が体に染み付いていて、セレクターレバーだけを操作しようとするだろう。それにより前後進を繰り返す暴走事故となってしまう可能性が高い。  

またトヨタは駐車時のシフトミスによる急発進、急加速を抑制するドライブスタートコントロールという安全装備を多くの車種に搭載している。これはアクセルペダルを踏み込んだままRレンジからDレンジへとシフトした場合、エンジン出力を抑制して急発進を防ぐ制御を行うという機能だ。しかしそれならばブレーキを踏んでいないとシフト操作を受け付けないようにするべきで、Nレンジからのシフトには安全機構が組み込まれていない点が、問題ではないだろうか。

◼ペダル踏み間違いからの急発進に

多くのクルマには、ブレーキペダルを踏んでいないとエンジン始動やPレンジからのシフト操作が行えないようにロック機構が採用されている。これは1980年代のアウディ車で、やはりAT車の暴走事故が起こったことから対策として採用され、以来多くの自動車メーカーも導入している機構だ。

ところが先代までのプリウスはアクセルを踏んだままNレンジやPレンジから、DやRレンジへのシフトが可能で、モーターにより急発進する仕様となっていた。これが前述のセレクターレバーと相まって、ペダル踏み間違いからの急発進につながっていたのだ。

しかし新型プリウスでは、ようやくブレーキを踏んでいないとシフト操作を受け付けない制御が組み込まれた。これによりペダル踏み間違いによる暴走事故には、一定の抑止効果が見込まれると言っていいだろう。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2307/30/news023.html


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Source: バイク速報

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