需要鈍化の電気自動車と伸びるハイブリッド車、フォーチュン誌 「豊田章男氏の長年の信念と業界のトレンドが一致した」

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テスラの苦戦がアメリカで表面化し、対照的に堅実なトヨタ自動車の実績が注目されている。

ガソリンを使わずバッテリーだけで走る電気自動車(EV)を推進してきたテスラに対し、トヨタはハイブリッド車(HV)のラインナップを拡大してきた。この戦略の正しさが証明されたとの見方も出ている。

EVを一貫して推進するテスラは、確かに近年勢いに乗っており、同社の一部ラインナップはすでにアメリカ市場でトヨタのいくつかの売れ筋モデルの販売台数を上回っている。

昨年、アメリカのHVの販売が2021年比で約6%減少と低迷した一方、EVの販売は65%増加。マスク氏は昨年、HVの時代は終わったとの認識を示していた。

だが今年はEV販売の伸びが鈍化し、HVは購入者が急増。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、HVの1月から9月までの販売台数は、前年同期比で48%増加した。

一方、EV市場は依然として拡大しているが、成長ペースは大幅に鈍化している。WSJによると、昨年上半期、全世界で63%成長したが、今年の同時期は49%の増加にとどまった。

トヨタのアメリカでの今年1月~9月の出荷台数はレクサスを含め20%増加し、約45万5000台に達した(WSJ)。

主力セダンであるプリウスを含むHVやEVの売れ行きが好調で、23年9月中間決算は営業利益が前年同期比124%増の2兆5592億円で過去最高だった。

一方、マスク氏は今年、収益性を犠牲にして販売台数を伸ばす姿勢を明確にしており、全モデルの価格を大幅に引き下げた影響により、テスラの直近の第3四半期の利益は前年同期比44%減の18億5000万ドルとなった。

米フォーチュン誌は、価格を気にせず購入するアーリーアダプター層はすでに購入済みであり、販売数維持のため利益率を妥協せざるを得ない、とテスラの現状を指摘する。

◆明暗を分ける価格

EV需要鈍化の理由の一つは、消費者がEVの高い価格を敬遠していることにあるとみられる。EVの平均価格は、ガソリン車やハイブリッド車に比べて依然としてかなり高い。

米自動車評価会社のケリー・ブルーブックによると、7月の電気自動車の平均価格は5万3000ドル以上であった。

昨年同期の6万ドルよりは下がっているが、それでもガソリン車やハイブリッド車の平均価格よりは5000ドルほど高い。このことからハイブリッドには、比較的手頃な価格という強力な訴求要因がある。

米調査会社のストラテジック・ビジョンのアレクサンダー・エドワーズ社長はWSJに対し、テスラの新規購入組の約8%が元トヨタ車オーナーであることを念頭に、「テスラはトヨタから売り上げを奪っている」と認める。そのうえで、「(テスラが)この状況を維持するためには、価格を大幅に引き下げる必要がある」と指摘する。

◆トヨタの信念が証明された?

フォーチュン誌は、トヨタの前社長の豊田章男会長がハイブリッドや水素自動車への多角的なアプローチを提唱してきたと振り返り、氏の長年の信念と業界のトレンドが一致したと説く。

EV一辺倒は市場に受け入れられないとかねて説いていた、豊田章男氏の信念が証明された形だ。EVの普及をねらうテスラのマスクCEOだが、現実はトヨタに味方しているようだ。

充電スポットの整備や航続距離の問題など、EV未経験者が初めてEVに乗り換えるうえでのハードルは高い。

消費者に敬遠マインドが広がるなか、北米トヨタ・ブランドの責任者であるデービッド・クライスト氏はWSJのインタビューに応じ、ハイブリッドが業界で「真に目覚めたのだ」と明るい展望を示している。

テスラは2030年までに年間販売台数でトヨタを抜き、世界トップの自動車メーカーになることを目標としている。戦略の変更を迫られる未来もあるかもしれない。

https://newsphere.jp/business/20231202-1/


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Source: バイク速報

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