
しかし、警察庁の統計によると暴走族は1982年の4万2510人をピークに取り締まりや法規制の強化によって2000年代に入って激減し、2020年以降は「暴走族」、「旧車會」それぞれ6000人前後で推移しています。
現在の「暴走族」、「旧車會」はどのような状況なのでしょうか。かつて暴走族の集会の告知方法は、クルマ雑誌やバイク雑誌が主流であり、警察が集会の実施を知る機会も多かったのです。
しかし、インターネットやスマホの普及によって近年は警察に気づかれることなくSNSなどで連絡を取り合うのが普通です。
そうして集まった少人数でのゲリラ的な走行が増えています。とある警察関係者は話します。
「30-40年前、暴走族が今より段違いに多かった頃、暴走族が好む雑誌で集会などを告知していました。
雑誌に告知されると場所や日時が変更されることは少なかったので取り締まりもしやすかったのですが、現在はスマホで告知を見て参加するのが普通ですね。
思い立ったらすぐに行動に移せるので警察としては取り締まりがしにくいのが現状です。警察がたくさんいたから場所を変える、なんてことも簡単です。
依然として、集団での信号無視等の危険走行や広がり走行。蛇行運転、特定の場所・道路区間における制限速度を大幅に超過した競走行為、不正改造による騒音の撒き散らしなど、周囲に多大な危険や迷惑を及ぼしている現状があります。」
昭和の時代には1グループ100台規模の集団暴走も良く見られましたが、最近は厳しい上下関係や集団規範を嫌う傾向が強まっているよです。
気の合う仲間4-5台で走るスタイルが人気となっており、それは全国の総人員数とグループ数を見てもわかります。
警察の統計では2023年は暴走族が137グループ、旧車會が425グループで2つともほぼ同じ人員数であることを考えれば、旧車會は1グループあたりの構成人数が暴走族の1/3以下。
上下関係で厳しく縛られることもなく気の合う仲間と少人数で走っているであろうことがわかります。
なお暴走族と旧車會はよく似ていますが警察ではそれぞれを分けて統計を出しています。暴走族=不正改造のバイクやクルマで暴走行為を行う迷惑集団という位置づけです。
旧車會は暴走族OBを中心とした人員で高額な旧車バイクに乗り、街中での暴走行為は少なく、景勝地へのツーリングが主体と暴走族に比べると迷惑性が低いとされています。
もちろん旧車會にも限りなく暴走族に近いグループは存在しますが概ね、法規を守って走行するグループが多いことは、取り締まりの件数にも表れています。
2023年に道路交通法違反で検挙された数は暴走族が6420人、旧車會が862人、道路運送車両法違反は同じく92人と8人で旧車會の違反が圧倒的に少なくなっています。
■中高年は高額旧車、若者たちは125スクーターが主流に?
かつて神奈川県最大級の暴走族の幹部をつとめていた50代男性が最近の暴走族について語ってくれました。
「暴走族も昭和の時代からずいぶん形が変わりました。旧車會など年齢層高めの高級旧車集団が主流と思われますが、相模原周辺では中学生高校生など10代の子たちも多いですよ。彼らは125スクーターがメインの集団ですね。最近のバイクは価格も高いですし、旧車も値段が高騰しています。必然的に購入しやすいスクーターに移行したのでしょう。当時は暴走族も走り屋も音は4気筒のほうが好まれてましたので、暴走族人気車種はCBX、XJがメインでした。今は到底、10代、20代では手が出ない価格になりました。盗難市場での人気も高いバイクです。シグナスなど125の盗難も頻繁にありますよ。昔は先輩から5万円で譲り受けたとかよくありましたけど、今はそんな金額では無理ですし、自分で大切にしますね」
全国的にピーク時よりは減少している暴走族ですが、全国各地の警察や公安員会では暴走族に対する取り締まりが続いています。
なお、暴走族には昔ながらのヤンキー系暴走族(警察用語では「共同危険型」)と、ルーレット族や環状族、峠族、ローリング族、ゼロヨンなどと呼ばれる走り屋系暴走族(同「違法競走型」)の2種類があります。
首都高都心環状線(C1)を200km/h近いスピードで周回するルーレット族は一般車を巻き込む事故の危険性も高く警察では取締りを強化しています。
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Source: バイク速報