EVカーの圧倒的「充電スタンド」がなぜ不足?ゼンリン調査で露呈した「EV普及のぶ厚い壁」とは

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■充電スタンド不足の深刻度

 地図大手ゼンリン(福岡県北九州市)は、バッテリー式電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHV)の運転経験があり、自宅外で充電したことのあるユーザー400人を対象に、利用実態とニーズを把握するためのウェブアンケートを実施した(2025年1月15日発表)。

 その結果、週に1回以上充電を行うユーザーが全体の

「約7.5割」

に上ることがわかり、頻繁な充電が必要な現状が浮き彫りとなった。一方で、自宅で充電を行うユーザーは少数派で、約8割が目的地までの経路上にある充電スタンドを利用している。また、充電時に感じる不満として最も多かったのは

「充電スタンド数が少ない」

という点であり、これがEV利用者の大きな課題であることがわかった。さらに、充電スタンドが「現在利用可能かどうか」をリアルタイムで把握できる仕組みを求める声も多く聞かれた。この調査結果から、週に1回以上の充電が必要であるにもかかわらず、利用者が充電したい場所に十分な充電スタンドが整備されていない実情が明らかになった。

 EVの普及は近年進んでおり、充電インフラの整備を急務としている。しかし、充電スタンドの整備がEVの普及スピードに追いついていない現状が浮き彫りとなっている。

「充電したい場所に充電スタンドがない」

との不満は特に地方や住宅街で強く、この課題はユーザーにとって深刻だ。充電スタンドの設置が追いつかない理由には、複雑な背景や利害が絡んでおり、その解決にはさらに多角的なアプローチが求められている。

■利益と効率のジレンマ

 EV充電スタンドの設置には多くの課題がある。設置候補地を選定する際には、主に次の要素が考慮される。

 まず、「需要の集中と利益性」が挙げられる。商業施設や高速道路のサービスエリアといった利用者の多い場所には充電スタンドが集中しやすい。しかし、これにより地方や住宅街など利用頻度が少ない地域には設置が行き届かない問題が発生する。企業は設置コストを回収するため、利益が見込める場所を優先する傾向があり、この結果、地域間で格差が生じている。

 次に、「コストと設置制約の問題」がある。EV充電スタンドの設置には数百万円から数千万円に及ぶ高額な初期投資が必要だ。そのため、商業施設や大型駐車場といった収益性の高い場所が選ばれやすい。また、設置場所の電力供給容量や土地の所有者との交渉が障壁となることも多い。特に都市部では土地が限られており、駐車スペースの確保自体が難しいのが現状だ。

 さらに、「充電時間とユーザーの利便性」も重要な課題である。ガソリン車が数分で給油を終えるのに対し、EVの充電には30分以上の時間がかかる。この時間的制約がユーザーの利便性を損ない、設置場所の選定に影響を与えている。充電中に買い物や食事ができる施設が併設されていない地域では、利用者が充電スタンドを敬遠し、結果的に設置が進まない。

 これらの課題を解決するには、利益性だけでなく、地域間のバランスやユーザーの利便性を考慮した多角的なアプローチが必要だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/acb94e341e28db79adc0bde60fe7fde8740b5fbd


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Source: バイク速報

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