GWの行楽シーズン、暖かくなりバイクでのツーリングを楽しむ人も多くなる時期です。こうしたなか、車の左側をバイクが追い抜いていく…そんな場面を見たことがある人もいるのではないでしょうか? 車の追い越しは右側から行うルールのはずですが、バイクによる左側からの追い抜きはアリなのかナシなのか…警察に「答え」を聞きました。
前の車を追い越す際、車の“左側”をバイクが追い抜いていく…見かけたことがある人もいるかもしれませんが、過去にはこのようなケースで痛ましい事故も発生しています。
2023年3月、東京都内でバイクと大型貨物車が接触し、バイクを運転していた男性が転倒、死亡しました。警視庁によりますと、現場は片側2車線の道路で、左車線を走行していた大型貨物車の運転手が前方に気を取られ、左側をすり抜けようとしたバイクと接触したとみられるということです。
この事故で大型貨物車の運転手が現行犯逮捕されたことを受け、インターネット上ではこんなコメントが相次ぎました。
ネット上の反応
「左のバイクにはなかなか気が付かない、逮捕は理不尽だと思う」
「大型車は死角も多いしドライバーが気の毒」
「バイクに左側から追い越されても気が付かないと思う」
確かに、追い越しと言えば右側からするもの。米子自動車学校(鳥取県・米子市)に撮影の協力をしていただき、トラックの左側をバイクが走行する状況を再現しました。
バイクが車の左を走るこうした状況は、法律的にはどのようなルールになっているのでしょうか?
■バイクが車の左側を走行して良い場合は? 島根県警に聞いてみると…
島根県警察本部 交通企画課担当者「左側からの『追い越し』は、例外を除いてしてはいけません。進路変更を伴わない『追い抜き』であれば、左側を追い抜く行為について道路交通法上の規定はありません」
ここでポイントとなるのが「追い越し」と「追い抜き」の違いです。何が違うのでしょうか。
島根県警察本部 交通企画課担当者
「『追い越し』というのは、車両が他の車両に追いついた場合に、その進路を変えて進路変更して、追いついた車両の側方を通過して、その車の前方に出ることを言います。
『追い抜き』というのは、進路変更を伴わず、車両に追いついた時に進路変更せずに、そのまま側方を通過して前方に出ることですね」
「前の車が右折しようとして道路の中央、右側端に沿って通行しているときですね、その場合は左側を追い越すことができます。
島根県・鳥取県にはありませんが、道路中央寄りに設けられている軌道敷、路面電車を追い越すときも同様に左側を追い越すことができます。」
進路変更を伴う「追い越し」の場合、前方の車が右折しようとするなどして中央に寄っている場合や路面電車を追い越すケースを除き、右側から行うのが原則です。
そのため、通常はバイクが左側から追い越した場合は違反となりますが、進路変更を伴わない「追い抜き」は、法律上の規定はないのだそうです。
しかし…
■左側の「追い抜き」 違反につながりやすいケースもある
バイクの左側の追い抜きは事故につながることもあり、危険な場合があると警察は指摘します。
島根県警察本部 交通企画課担当者「左折車による巻き込み事故、左側に寄ってこられての接触事故とかですね、サンキュー事故のような対向車の右折車などを通してあげる場合、急に車がかげから出てきて衝突するというような状況もありますので、やはり危険ですね」
また、こんな違反に繋がるケースも…
島根県警察本部 交通企画課担当者「自分は進路変更を伴っていない追い抜きをしているつもりでも、はたから見れば進路変更をして追い越していくという形が多々ありますので、そういう場合は違反になってしまいます。
また、走行中であればかなりの速度でなければ抜けない場合もありますので、速度違反に該当してしまう場合もありますでしょうし、路側帯なんかを通ってしまう、通行してはいけない場所を通行して左側を追い抜きされたりというような時には、通行区分の違反になったりします。
それから、事故に直結する危険な運転をされた場合は、安全運転義務違反ということも考えられます」
左側からの「追い抜き」の際に、こうした様々な違反に繋がってしまうこともあるのだそうです。
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Source: バイク速報