また、その前日の21日には、スウェーデンの高級車大手ボルボ・カーが同国のノースボルトと共同出資会社を設立し、EV用電池の自社生産に乗り出すと発表。ボルボは30年までにEV専業メーカーになることを表明している。
こうした発表が相次ぐのは、EVの販売増加に勢いがあるからだ。転換点になったのが20年。欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州の31カ国のEVの販売台数は前年に比べ約2倍の74万5600台、プラグインハイブリッド車(PHV)のそれは、同3.1倍の61万9100台に急増した。
昨年が転換点になっていることは、以下のデータを見れば分かる。19年までは微増が続いており、EV普及で中国に後れを取っていた。それが20年に突如として成長した。国際エネルギー機関(IEA)は、欧州が世界最大の電動車市場になったと分析している。
■ノルウェーは新車販売の75%がEVとPHVの電動車
欧州では国ごとに普及の度合いが異なり、グラデーションが面白い。欧州代替燃料観測所(EAFO)によると、20年の新車販売に占めるEVとPHVの電動車の比率が75%と圧倒的に高いのがノルウェーだ。実に4台に3台が電動車となっている。それにアイスランドの51%が続く。いずれも水力発電や地熱発電などの再生可能エネルギーが主力電源で、早くからEV普及に力を入れてきた。
特にノルウェーはEVに様々な優遇策を用意している。エンジン車に対する課税を引き上げる一方で、EVへの課税を低く抑えている。中でも首都オスロでは多様な支援メニューがあり、エンジン車から渋滞税を徴収する一方でEVは無税とし、市街地に有料道路を増やし、EVを無料で通行できるようにしている。
こうした優遇策を受け、ノルウェーでは様々なEVが販売を伸ばしている。20年にはアウディのEV「e-tron(eトロン)」が最量販車種になった。4万~5万ユーロの高級車がベストセラーの地位を獲得するのは異例だ。eトロンは21年1~3月期の販売台数が前年同月比で25%伸びたという。
経済規模の大きい欧州の主要国でも、EVの販売台数が急増している20年にドイツでは前年に比べ約3倍の19万台、フランスでは同2.5倍11万1000台、英国では同2.9倍の10万8000台のEVが販売された。
■スウェーデン、欧州最高のPHV比率でボルボも好調
今後、EV販売比率が高まりそうな国はどこか。今、欧州で注目されているのが、スウェーデンとオランダだ。
スウェーデンは20年にEVとPHVの販売台数が急増。これらの合計の比率は新車全体の32%に達し、特にPHVの販売が伸びているのが特徴だ。EVアナリストのマティアス・シュミットが運営する「シュミット・オートモーティブ・リサーチ」の統計データでは、21年1~4月期にはスウェーデンでは新車販売に占めるPHVの比率が28%に達した。これはノルウェーと並び、欧州で最も高い比率だ。
これが要因となり、地元メーカーであるボルボのPHVの販売が伸びている。シュミット・オートモーティブ・リサーチの分析によると、21年4月に西欧諸国で最も売れたPHVは、ボルボの「XC40」だった。ボルボが電動化を加速しているのは、こうした背景もありそうだ。
ボルボのPHV「XC40」は21年1~4月に西欧諸国で約1万7000台を販売し、ベストセラーPHVとなっているオランダもEV比率が急伸している。20年は新車販売に占めるEVとPHVの比率が25%に達した。
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Source: バイク速報