フォルクスワーゲン、ドイツ国内工場の閉鎖を検討…ＣＥＯ「欧州の自動車業界は非常に深刻な状況」

　【ロンドン＝中西梓】独自動車大手フォルクスワーゲン（ＶＷ）は２日、独国内工場の閉鎖を検討していると明らかにした。労働組合に対し、コスト削減策の一つとして通達したという。ロイター通信によると、生産拠点と部品工場の各１か所の閉鎖が検討されている。ＶＷにとって独国内工場の閉鎖は初めてとなる。
　ＶＷのオリバー・ブルーメ最高経営責任者（ＣＥＯ）は声明で「欧州の自動車業界は非常に厳しく深刻な状況にある。新たな競合他社が欧州市場に参入し、特に製造拠点としてのドイツは競争力の面で後れを取っている」と述べた。
　欧州では電気自動車（ＥＶ）の開発・販売競争が激しくなっているほか、中国メーカーが攻勢を強めている。ＶＷは７月にもＥＶの販売低迷を理由に、高級車アウディを生産するブリュッセル工場の閉鎖を検討すると発表していた。
　ＶＷの年次報告書によると、グループ従業員約６８万人のうち約半分にあたる約３０万人が独国内で雇用されている。ＶＷは２０２９年まで従業員の雇用を保障するという組合との協定も終了する意向という。