■EUは「2035年エンジン車禁止」を撤回最近、欧米諸国は電気自動車(EV)への移行政策を修正しつつある。欧州委員会は、2035年からエンジン車の新車販売を実質的に禁止する方針を撤回した。米国のトランプ政権は、既に新車の燃費規制を大幅に緩和する方針を発表した。中国政府は、過剰生産問題もあり、5カ年計画(2026~30年)で電気自動車(EV)を戦略的新興産業から除外した。
こうしたEV政策修正の背景には、それぞれの国の自動車メーカーの業況悪化が顕著なことがある。特に、自然保護の観点からEVシフトを重視した、欧米諸国の自動車メーカーは総崩れ状態だ。
主要国政府は、自然環境の保護よりも、自動車産業を支援する方向に舵を切らざるを得なくなった。そうした政策修正は、わが国のメーカーにとっては重要な追い風になる。
■日本独自の“全方位型”が奏功した
トヨタ自動車などわが国の自動車メーカーは、これまでEVやハイブリッドカーなどフルラインナップで供給する、いわゆる“全方位型”事業戦略をとってきた。その戦略が、今回見事に奏功する結果になった。
特に、米国や中国などの主要市場で、環境性能の高さと航続距離が評価され、ハイブリッド車(HV)の需要は増加が顕著になっている。
わが国にとって、自動車産業は経済成長を牽引してきた最重要産業だ。産業の裾野は広い。この追い風が吹いている間を逃さず、わが国のメーカーは製造技術に磨きをかけると同時に、ソフトウェア分野などの実力を蓄積することは重要だ。それを生かして、わが国経済の復活に向けた道筋をつけることに期待したいものだ。
■独フォルクスワーゲンが初の国内工場閉鎖
現在、欧州や米国の主要自動車メーカーの業況は、かなり厳しい状況にある。ドイツのフォルクスワーゲンは、一時、東部のドレスデン工場での生産を終了すると報じられた。同社にとって、国内工場の閉鎖は88年間の歴史の中で初だという。
ポルシェは車載用バッテリーの生産を断念し、EV事業計画を見直さざるを得なくなった。メルセデス・ベンツは米国でのEV販売を中止した。
米国では、12月に入って、フォードが大規模な構造改革案を出した。2027年12月期までに、EV事業のリストラ費用195億ドル(約3兆円)を計上する方針だ。
GMも、複数回にわたってEV事業のリストラを実施している。2023年には約5000人の従業員を削減した。今年10月には、EVや車載用バッテリーの工場で追加3300人を削減し、11月にも追加で1000人のリストラを実施したようだ。
そうした状況で、欧州連合(EU)は、2035年のエンジン車販売の原則禁止方針を撤回する案を発表した。二酸化炭素の排出を削減して製造された鉄鋼製品(グリーン鉄鋼)の使用を条件に、2035年以降もエンジン車の販売継続を容認するようだ。
(略)
■EVはコスト、安全性、インフラに課題山積欧州、米国、中国などがEVシフトを遅らせるのは、自然環境の保護よりも目先の経済を優先する必要があるからだろう。
世界にとって異常気象は重要な問題なはずだ。環境問題に対して、当初、欧州の動きは速かった。欧州委員会は、自動車のライフサイクルアセスメント(素材の調達、生産、利用、リサイクルと廃棄の過程で排出される二酸化炭素を評価するしくみ)を策定した。持続可能な経済運営に関するルールを策定し、世界のEVシフトを主導しようとした。
しかし、EV政策に課題は多かった。ドイツなどは財政悪化を食い止めるため、販売補助金を縮小しEV価格は上昇した。バッテリーの製造コストも高い。バッテリーの発火問題など安全性にも不安はある。航続距離も短い。充電インフラも少ない。ウクライナ戦争以降は天然ガス価格が上昇し、発電コストも上がった。風況の変化で、再生可能エネルギー由来電力の供給不安も高まった。
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2025/12/29(月) 9:15※前スレ
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Source: ゆめ痛 -NEWS ALERT-