欧州委員会がエンジン車の新車販売を原則禁止する方針を撤回し、欧州勢は再びエンジンの開発に力を注ぐ必要に迫られる。ただかつてのエンジン開発体制にすんなりと戻れるのか不透明だ。電気自動車(EV)に傾倒する間に多くのエンジン技術者が中国企業へ流れたとの見方がある。中国勢は欧州から学んだエンジン技術を活用し、欧州市場に攻め込み始めた。「(従来の目標は)もはや現実的ではなかった」。欧州自動車工業会事務局長のSigrid de Vries(シグリッド・デ・フリース)氏は欧州委員会の方針転換は当然との認識を示した。欧州は2010年代後半から「脱エンジン」を掲げてEVシフトへ突き進んできた。だが消費者がついてこれず、そのシナリオは瓦解した。
ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)社長のOla Kallenius(オラ・ケレニウス)氏が「2035年にエンジン車を一律禁止すれば市場が崩壊する」と強い懸念を示すなど、誰の目にも無理筋の目標であることは明らかだった。
欧州エンジン取り込む中国、再加速の足かせ 35年禁止撤回も9割減要求
https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/122400630/122400002/
欧州エンジン技術者を引き抜く中国ただ今後もエンジン車の開発を継続できるようになったからといって安泰とは言えない。欧州委員会はエンジン車の販売を認める一方で、自動車メーカーに求める2035年の二酸化炭素(CO2)排出削減目標を2021年比90%減にする厳しい条件を設けているからだ。しばらくエンジン開発を後回しにしてきた欧州勢にとって高いハードルが待ち受ける。
欧州勢がすぐさまかつての開発力を取り戻せるのかは不透明だ。EVシフトに向かう過程でエンジン部門を縮小し技術者を手放してきた。例えばフランスRenault(ルノー)はエンジン部門を切り離し、中国・浙江吉利控股集団(ジーリー)などとの合弁会社に開発や生産の大半を移した。
「中国系の方が待遇は良い」。欧州勢が手放してきたエンジン技術者を積極的に取り込んできたのが中国勢だ。2025年9月、ドイツ・ミュンヘンで開催されたモーターショー「IAA MOBILITY 2025」を訪れた時、中国系エンジンサプライヤーの欧州出身担当者が筆者に小声で教えてくれた。その担当者は元々、欧州の某メーカーでエンジン開発に携わっていたという。所属するメーカーがEVに傾注する中で居場所を失うことを恐れて中国メーカーに転じた。
欧州勢の技術の取り込みに積極的なのがルノーとの合弁会社を設立した吉利だ。この数年で一気にエンジン技術をものにしつつある。吉利の元技術者である島崎勇一氏は「欧州の自動車メーカーやエンジニアリング会社から引き抜かれたエンジン技術者が多くいた」と明かす。
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Source: ゆめ痛 -NEWS ALERT-