
警察庁の犯罪統計によると、令和2年中の「オートバイ盗」の認知件数は9018件でした。前年の令和元年における認知件数は1万1255件だったので、2237件の減少です。
件数が減ったこと自体は、ライダーにとって喜ばしいことでしょう。しかし「減少した」といっても「根絶された」わけではありません。自分の愛車を盗まれてしまったライダーにとって、全体的な件数は無関係すから。
同年のオートバイ盗の検挙件数はわずか1489件で、検挙率は16.5%でした。単純にみれば「盗まれたバイクが返ってくる割合」は2割にも満たない計算です。
しかも、前年の検挙率は21.5%なので、5%も減少しています。この統計をみれば、バイク盗難の全体的な件数は減少しているものの「盗まれたバイクが返ってくる確率は低い」という実情は明らかです。
■「盗難バイクは海外輸出」時代遅れ?
盗まれたバイクがその後どのような末路をたどるのかを考えたとき、まず思い浮かぶのが「海外輸出」でしょう。
平成16(2004)年には、ハーレーダビッドソンなどの高級バイクを盗んで海外に輸出していたグループの主犯格が海外逃亡したというニュースが報じられました。最近では、Twitterでバイクを盗まれたと投稿したところ、東アフリカのケニア共和国で発見されたという事例もあります。
海外、とくにアジア圏では二輪車の需要が非常に高く、日本製のバイクは人気が高いため、輸出目的の窃盗が多発していました。ところが、近年では海外でもある程度の需要が満たされてきたので、盗難バイクの海外輸出はすでに下火と言われています。平成18(2006)年に税関が摘発した盗難バイクの台数は180台でしたが、平成30(2018)年には12台にまで減少しています。
もちろん、犯罪グループの手口は巧妙化しているので、この数字をみても「たった10数台しか海外に輸出されていない」というわけではありません。税関や捜査機関に発見されない裏ルートが存在するのは、先に挙げた事例からも明らかです。
また、バイクを分解してパーツとしての輸出を目論んだところを摘発された事例もあるので、国際的な犯罪グループは何らかの方法で巧妙に盗難バイクを海外に輸出しています。
とはいえ、バイク輸出の摘発数だけでなくパーツ輸出の摘発数も近年では激減しているので、もはや「盗難バイクは海外に」と考えてあきらめるのは時代遅れかもしれません。
■近年、盗難バイクの多くは国内で発見される
令和2(2020)年8月、福岡県でヤマハ RZ250Rを盗んだ少年が逮捕される事案が起きました。オーナーの自宅敷地内に駐輪していたところを盗難被害に遭いましたが、犯人である当時15歳の少年がInstagramに画像を投稿したため特定された事例です。
同年10月には、静岡県に住む男らが磐田市内のマンション駐輪場にあったオフロードバイクを盗んでインターネットオークションで売却し、警察に逮捕されました。この地域ではオフロードバイクばかりを狙った盗難事件が10数件発生しており、その男らが関与している疑いが強いとみて捜査が進められています。
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Source: バイク速報